東京商工リサーチの集計によると、全国の銀行114行の2016年9月中間単独決算ベースの預貸率は67.34%で、前年同期の67.98%を0.64ポイント下回り、調査を開始した11年以降で最大の落ち込み幅を記録した。16年2月のマイナス金利導入後も企業の投資意欲が高まらず、銀行は資金の運用先を探しあぐねているのが実情。企業の投資マインドが前向きに転じない限り、預貸率が上昇ラインを描くには時間が必要、と同社は予測した。
預貸率の低下は▽総預金残高(譲渡性預金を含む)が753兆6,364億2,100万円(前年同期比1.8%増)だったのに対し、総貸出金残高が507兆5,135億8,500万円(同0.9%増)にとどまり、総貸出金が伸び悩んだ▽地銀・第二地銀の多くはマイナス金利導入以降、地元回帰の傾向を強め、中小企業向け貸し出しを増やし預貸率が上昇したが、資金規模の大きい大手銀行が預貸率を低下させたことで、全体の預貸率を押し下げた―ことによる。
「預貸ギャップ」(預金+譲渡性預金-貸出金)は246兆1,228億3,600万円に膨らみ、預金の貸出金に対する大幅超過が続いている。「預貸ギャップ」の拡大は、マイナス金利導入後も銀行貸し出しが伸び悩んでいることを意味する。
■参考:東京商工リサーチ|2016年9月中間決算 単独決算ベース「銀行114行 預貸率」調査|
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170208_07.html