審査請求人が生命保険金等の一部を申告しなかったことについて、当初から相続税の過少申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で申告したとして重加算税等の賦課決定処分を受けたのに対し、それらの取り消しを求めた事案で国税不服審判所は28年5月13日付で、故意に当初申告の対象から除外したとは認め難いと裁決、処分を取り消した。
請求人AとDは生命保険金等の申告漏れを指摘され、修正申告をした。原処分庁はAに対し重加算税と過少申告加算税の賦課決定処分を、Dに対しては相続税法第19条の2《配偶者に対する相続税額の軽減》第5項の適用により修正申告に係る税額軽減額が減少する旨の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をした。
審判所は▽請求人は相続開始の約4カ月後に保険会社から教示を受けるまでは、相続に起因する保険金の支払い請求手続きないし契約者等の変更手続きの必要性を認識しておらず、受動的に手続きを行った▽当初申告後に保険会社から連絡を受けるまでは、各保険の3口の存在を認識していなかった▽当初申告書の作成過程で関与税理士に対し相続財産の計上漏れを指摘して訂正を求めるなど、正確な申告を行う姿勢を示している―などを理由に挙げた。
■参考:国税不服審判所|相続税の重加算税、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し、全部取消し・平成28年5月13日裁決|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030200.html#a103-1