長年多くの人に問われてきたテーマであるが、人が働く理由としては、「報酬を得ること」「生きがいを持つこと」等を挙げることが一般である。報酬を得ることに重点を置く人は、同じ報酬であれば心身の負担がより少ない楽な仕事を求める。当然、負担の大きい苦しい仕事には大きな報酬を求める。生きがいや社会貢献等に重点を置く人は、報酬の大小を基準に仕事を選ばず、仕事をすることを通じて得る心の充足感を強く求める。
但し、報酬と生きがい(働くことによる心の充足感)は二者択一ではなく、どちらも適度に満たせれば大抵の人は満足であろう。ところで、「仕事が難しく、つらい」「残業が多く、休日が少ない」「ボーナスが少ない」「人間関係が煩わしい」「仕事が単調で楽しくない」「いくら続けてもやりがいが無い」等を理由に転職を繰り返す人もいる。
働くことの意義を一方向(食べる為のみに働く、生きがいの為のみ働く等)からのみ捉えることは、安定した勤務を難しくする。また、人を雇用する立場にいる経営者も、社員が勤労意欲を強く持つか否かの基準を報酬の大小のみに求めたり、生きがいや職場の人間関係等のみに求めたりしない方が雇用安定になるようだ。働くことの意義は、バランス良く捉えることが賢明だ。