社会保険の未適用企業に対しては、年金事務所から事業所立入検査の予告のような文書まで送付されるようになった。数年前まで見られたようなゆるい対応は跡形もない。これまで社会保険未適用だった事業所もさすがに年金事務所の本気を受けて、渋々ながらも社会保険適用を進めているようだ。
事業場に立ち入られた上、各種資料の提出を求められ、場合によっては2年遡って社会保険に加入させられるかもしれないというリスクはそうそう無視できるものではないらしく、実際に協会けんぽ加入事業所数は右肩上がりが続いている。
厚生労働省の動きを後押しするように、国土交通省でも公共工事の入札について、社会保険未適用企業を排除する動きを加速しているほか、建設業全体から社会保険未適用企業を排除すべく、同省は「社会保険加入対策推進協議会」を開催、従来の1次下請における社会保険未適用企業の排除のみならず、4月からは発注者として直接的な契約関係のない2次下請以下への対応に踏み切る意向だ。2次下請以下の企業の未適用が判明した場合、発注者から元請企業に一定期間内に社会保険適用を行うよう指導させることになる。元請企業からの強い圧力がかかることになり、ますます逃げ道が塞がれる状況となるだろう。