厚生労働省はハローワークや民間の職業紹介事業者が、労働条件の劣悪なブラック企業からの求人を拒否できる制度の導入を検討している。現状、問題のある企業からの求人については、ハローワークが新卒求人のみを拒否することができるが、それを民間事業者にも拡大した上、新卒以外にもパートやアルバイト等、有期雇用契約を含めた全求人を対象とする予定だ。
求人を拒否できるのは反社会的勢力の関連企業や残業代不払い等の労働法令の違反行為を過去1年に2回以上労働基準監督署から是正指導を受けた企業、セクハラで社名を公表された企業等が予定されている。
また、意図的に虚偽の労働条件を記載した求人票をハローワーク等に提出した企業への罰則も検討されている。近年、雇用契約前に好条件を提示しておき、実際の雇用契約の際には異なる条件を提示して契約を迫る「求人詐欺」を行う企業が増加しており、社会問題化している。新たに設けられる罰則は求人票の内容が採用時に変更された場合は労働者に明示することを義務づけ、命令に従わない場合は企業名の公表まで可能となる予定。ハローワークの求人は費用がかからず便利な存在だ。一部の不心得企業を排除することは優良企業にとっても歓迎すべき事態だろう。