改善が必須 運送業の労務管理に問題点多発

LINEで送る
[`yahoo` not found]

運送業における労務環境の悪化に歯止めがかからない。景気の低迷によるコスト削減の影響を受け、運賃は値下げ傾向にある上、当日配送等のサービス拡大による労働時間の増加も深刻だ。

3月に渋滞中の車列にトラックで突っ込み、2人が死亡する多重事故を起こした運転手は先日懲役4年の実刑判決を受けた。また、運転手が過労状態にあり、正常な運転ができないおそれがあると知りながら運転を指示した会社も道交法違反で起訴されている。

トラック、バス等の自動車運転者を使用する事業場に対して労働基準監督機関が行った平成27年の監督指導では、3,836事業場のうち、労働基準関係法令違反が認められた事業場は3,258事業場(84.9%)、重大または悪質な労働基準関係法令違反による送検数も60件となっている。違反事項でもっとも多いのは労働時間で58.5%となった。割増賃金の不払い、法定休日を確保していないといった、長時間労働に伴う違反事項も併発している。

また、運送業特有の待ち時間の多さも問題となっており、最大拘束時間や総拘束時間にかかる違反も指摘されている。大きな事故を起こす前に、運転業務従事者の労務管理については、あらためて厳格に管理・運営すべきだろう。

■参考:厚生労働省|自動車運転者を使用する事業場に対する平成27年の監督指導、送検の状況を公表します|

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/01.pdf