信託協会は29年度税制改正に関する要望をまとめた。この中で同協会は、信託受益権が質的に分割された受益者等課税信託(不動産信託等)の課税関係の明確化の観点から所要の税制上の措置を講じるよう要望した。その内容については、信託の利用促進が図られ、 受益者等の関係者が対応可能な実効性の高いものとするよう求めた。
同協会は要望の背景として、信託受益権が質的に分割されている場合は「権利の内容に応じて」課税することとされているが、不動産信託等のように信託財産に減価償却資産がある場合における減価償却費の処理 方法や、個人を受益者とする元本・収益受益権分割等において個人受益者が受領する分配金の所得分類の取り扱い等が明確になっていないため、利用が進んでいない類型があると指摘した。
その上で、「平成19年に施行された信託法では、家族信託に対応した遺言代用信託や、新たな資金調達手段として考えられる受益証券発行信託等の新しい類型が創設された。信託受益権が質的に分割された信託の課税関係が明確化されれば、ニーズに即した様々な権利内容の信託受益権を創出することができ、多様な分野で信託の利用が促進され、 わが国の社会・経済の発展に寄与することが期待できる」と訴えた。
■参考:信託協会|平成29 年度税制改正に関する要望|
http://www.shintaku-kyokai.or.jp/data/pdf/z29.pdf