Weeklyコラム 機械化と人材の安定

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世の中の現象には矛盾するものが多い。仕事の機械化と人材の安定もその一つだ。近年の経済成長は機械化によって発展してきたが(洗濯機・自動車等による生活の向上も同じ)、反面で手作業による仕事等の衰退や人材の不安定を招いてきた。

X社(食品加工業、社員50人)は、事業承継をきっかけに、加工や事務の機械化を全面的に取り入れた。結果、売上に対する人件費が下がり、生産能力や取引先数が拡大した。しかし、熟練社員の大量退職(一部余剰)と新規採用社員によって管理者が不足し、商品開発・労務・納品管理等に支障が生じた。また、熟練社員(管理者が多い)よりも新規採用社員の方が機械に詳しい者が多かった。その後、X社は商品開発力や人材の安定の重要性に気づき、特に人材の安定の為に急速な機械化に頼ることを止めた。機械化を進める際には、

次のような点を多面的に考慮することが必要と考える。(1)事前に、機械化すべき業務とすべきではない業務(例えば商品開発や苦情処理等)を総合的に分別する(2)仕事は人が主体であり、機械の都合を優先する労務管理を行わない(労働時間帯・就労日・指揮命令方法等)(3)急速な機械化によって社員の職能評価や地位や担当が大きく変化する場合は、部分的で緩やかな導入を目指す。