財務会計基準機構の基準諮問会議(会計基準の検討テーマなどを審議する機関)はこのほど、マイナス金利に係る会計上の論点について、企業会計基準委員会に検討すべき新規テーマとするよう提言することを決めた。
企業会計基準委員会では、マイナス金利に関して、今年3月にマイナス金利下における退職給付債務の計算に係る割引率の取扱い及び金利スワップの特例処理の取扱いについて、議事概要という形で会計処理を明らかにしている。しかし、あくまでも平成28年3月期決算のための緊急対応的なものとなっている。
マイナス金利に関しては、議事概要で示した論点以外にも、(1)債権に関してマイナスの金利を支払った場合、及び債務に関してマイナスの金利を受け取った場合の会計処理及び開示(2)資産除去債務に係る割引率の取扱い(3)金融商品の時価等の開示における時価の算定の取扱いなどが想定されており、基準諮問会議では、引き続きマイナス金利に係る会計上の取扱いを定める必要があると判断したものである。
ただし、マイナス金利に関しては、今後の水準を予測することは困難であることなどから、基準開発の要否や時期については、同委員会の判断に委ねるとしている。