税理士法人に損害賠償 DES説明義務怠る―東京地裁

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税理士法人が提案した節税策により生じた多額の税負担について、東京地裁は求められていた損害賠償を全面的に認めた。原告の法人Xは代表取締役Aの資産管理会社で、22年4月末時点でXに対し約11億円の貸金等債権を有していたAは、税理士法人Yに、Xに対するAの債権の相続税対策を依頼。債権をXに現物出資し、Aに対してXの株式の割当てを行うDES方式など2案が示され、X及びAはDESを採用した。

しかし間もなくAが死亡し、相続人が別の税理士法人に相続税申告を依頼したところ、DESによって債権の額面金額と時価との差額が債務消滅益として計上され、課税対象となることが判明。これを告げられたYは「DESはなかった」ものとしてXの法人税等の確定申告書を作成・提出したが、XはDESに係る債務消滅益の発生を前提とする修正申告等を行い、Yに対する賠償を求める裁判となった。

同地裁は、DESに伴い発生する債務消滅益が課税される可能性、予想される税額等についてYには説明義務があったものの提案書にはそれらに係る記載が皆無で、試算すらしていなかったと推察できると指摘。Yの債務不履行責任及び不法行為責任は免れないとし、Xが求めた3億2900万円の全額の支払いが命じられた。