司法書士法3条2項各号のいずれにも該当する司法書士(認定司法書士)に依頼した債務整理につき、認定司法書士が代理することができる範囲を超えて違法に裁判外の和解を行い、報酬を受領したなどとして、被上告人らが不法行為による損害賠償請求権に基づき上記報酬相当額の支払い等を求める事案で最高裁第一小法廷は、当該認定司法書士は、当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が同法3条1項7号に規定する額を超える場合には、その債権に係る裁判外の和解について代理することができないと解するのが相当だとし、司法書士の上告を棄却した原審を是認した。
7号は裁判外の和解について代理できるのは、当該債権につき債務者が弁済計画の変更により受ける経済的利益の額が140万円を超えない場合と規定する。最高裁は、代理できる範囲は、認定司法書士が業務を行う時点での委任者と認定司法書士の関係だけでなく、和解の交渉の相手方など第三者との関係でも客観的かつ明確な基準によって決められるべきであり、裁判外の和解で初めて判明するような、債務者が弁済計画の変更によって受ける経済的利益の額や、債権者が必ずしも容易には認識できない債務整理の対象となる債権総額等の基準によって決められるべきではないと説示した。
■参考:最高裁判所|損害賠償請求事件(平成28年6月27日・最高裁判所第一小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85969