外国国家が発行した円建て債券に係る償還等請求訴訟につき、当該債券の管理会社が任意的訴訟担当の要件を満たすかどうかが争われた事案で最高裁第一小法廷は、管理会社は原告適格を有すると認定。原告適格を有せず、不適法として却下した原判決を破棄し、第1審判決を取り消すとともに、第1審の東京地裁に差し戻した。
いずれも銀行である上告人らが、外国国家である被上告人が発行した、いわゆるソブリン債である円建て債券を保有する債権者らから訴訟追行権を授与された訴訟担当者であるなどと主張して、被上告人に対し当該債券の償還および約定利息等の支払いを求めている。
最高裁は、任意的訴訟担当については、本来の権利主体からの訴訟追行権の授与があることを前提として、弁護士代理の原則(民訴法54条1項本文)を回避し、または訴訟信託の禁止(信託法10条)を潜脱する恐れがなく、かつこれを認める合理的必要性がある場合には許容できるとの判例を踏まえ、▽当該債券等保有者は債券の購入に伴い、債券に係る償還等請求訴訟を提起することも含む債券の管理を上告人らに委託することについて受益の意思表示をした▽これは上告人らに対し当該訴訟について訴訟追行権を授与したものと認めるのが相当―などと説示した。
■参考:最高裁判所|債券償還等請求事件(平成28年6月2日・最高裁判所第一小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85927