審査請求人の相続税について原処分庁が、請求人が一部の金地金を秘匿して課税財産に含めて申告しなかったとして、相続税の更正処分と重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が当該地金は存在しておらず、原処分庁の認定は誤りだとして、原処分の全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、当該地金は相続開始日に被相続人の相続財産として認めるには十分とはいえず、請求人が取得した相続財産とは認められないと裁決、更正処分と重加算税の賦課決定処分を全部取り消した。
被相続人は生前、多数の地金を保有。死後、請求人が2.3Kgを取得したとして相続税を申告したところ、その後の調査でほかに14.8Kgもあることがわかった。
原処分庁は(1)相続開始日の3年前ごろには被相続人の下に多数が保有されていた(2)調査した金地金取扱業者等に対する売却の事実がない(3)相続人等への贈与の事実もない―ことから、相続開始日に被相続人または被相続人の委任を受けた請求人の管理下に、同人が申告した以外の地金が存在したと主張。審判所は、それらの事情は、相続開始日に当該地金が被相続人の相続財産として存在したと認めるには十分とはいえず、ほかに原処分庁が主張する事実を認めるに足りる証拠もないとした。
■参考:国税不服審判所|【相続税関係】更正処分及び重加算税の賦課決定処分・全部取消し(平成27年5月8日)|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0312000000.html#a99