日本公認会計士協会は、東芝などの昨今の会計不祥事を踏まえ、会長通牒「公認会計士監査の信頼回復に向けた監査業務への取組」を公表した。
会長通牒では、公認会計士監査の信頼回復のために特に留意すべき点として、(1)リスク・アプローチに基づく監査(2)職業的専門家としての懐疑心(3)経営者による内部統制を無効化するリスク(4)会計上の見積りの監査(5)監査チーム内の情報共有(6)審査(7)監査時間・期間の確保の7点を挙げた。
このうち、上記(2)では、監査人は監査の全過程を通じて職業的専門家としての懐疑心を保持し発揮する必要があると指摘したほか、(4)の会計上の見積りの監査に当たっては、経営者が会計上の見積りを行った方法とその基礎データの検討において、被監査会社の説明を鵜呑みにすることなく、収集した情報や監査チーム内に蓄積された知識に照らして批判的に検討する姿勢を保持する必要があるとしている。
また、不正による重要な虚偽表示を見逃さないために監査人が留意すべき事項を説明した「監査提言集(特別版)『財務諸表監査における不正への対応』」も併せて公表し、改めて公認会計士に対して注意喚起を行っている。