金融庁は昨年12月に東芝の監査を行っていた新日本有限責任監査法人(東京都千代田区)に対して、3か月間の契約の新規の締結に関する業務の停止処分及び業務改善命令を行った。併せて約21億円にのぼる課徴金納付命令に係る審判手続を開始した。監査法人に対する課徴金納付命令は初めてのケースとなる。
このうち、「契約の新規の締結に関する業務の停止」処分については、平成28年1月1日から同年3月31日までの3か月間が対象。この業務の停止期間中は、新たな監査契約を締結できないわけだが、既存の監査契約の更新が禁止になるかは定かではない。業務の停止期間中には10~12月決算法人の株主総会が控えているだけに問題となる。
この点、金融庁によると、「契約の新規の締結に関する業務の停止」とは、一定期間、監査法人の業容の拡大を禁止することを目的としたものであるため、既存の監査契約の更新など、業務の拡大につながらないものについては、禁止の対象にはならないとしている。善意の被監査会社に対して影響を与えるものではないというのがその理由だ。このほか、個別判断にはなるものの、既存契約に密接に関係した契約の新規締結も可能になるという。