こんな言葉があるそうだ。「最も強い者が生き残るのでなく、最も賢い者が生き延びるでもなく、唯一生き残るのは、変化出来る者である」(イギリスの自然科学者、チャールズ・ダーウィンの言葉とされる)。
日頃経営指導をしていて疑問に思うことは、人材・財力・技術・商品等が優秀なのに、安定した業績が獲得出来ない会社が多いことである。社員の能力も同様で、知識・人脈・営業力等が社内で最も優れていても、最終的にトップになるとは限らない。
X社(生活雑貨の通販業)は歴史の長い会社であるが、平成になった頃から新聞・雑誌・テレビ媒体による通信販売が過当競争で売上が低迷。経営陣や幹部社員は従来からの人脈や商品開発に自信を持っていたので、既存の広告媒体と商品改善で簡単に解決出来ると考えていた。しかし、事態がますます深刻になり、入社7年目のA氏(30歳)によって、大きな転換を図った。従来の販売形態にネット通販を加え、しかも徐々に海外向けネット通販にも進出したのである。当初は社内の反対が強かったが、現在売上の半分はネット通販である。「窮すれば変ず、変ずれば通ず」と言うが、人は追いつめられると変わるものだ。窮して逃げず、いつの時も自己が変化して状況に合わせることが生き残り策である。