厚生労働省は、平成27年3月に高校や大学を卒業し、4月から就職予定だった者のうち、内定を取り消された者の状況を公表した。
採用内定は、企業側が内定を通知し、労働者が応諾した段階で条件付きの労働契約が成立する。原則として学校を卒業できなかったなどの採用内定取消事由に該当しない限り有効だ。それ以外の事由で取り消す場合は、客観的に合理的な理由があるなど解雇と同様の基準でその有効性が判断さ れる。厚労省の資料では、内定を取り消されたのは高校生36人、大学生等24人の計60人で、うち39人は8月末までに新たな就職先を確保している。内定を取り消した事業所は29事業所で、業種別では製造業が10事業所で33人の内定を取り消しており最多となった。規模別では従業員99人以下の事業所で30人、100~299人で26人の内定を取り消している。中小企業での内定取消しが目立つ結果となった。
今回の厚労省の発表では2事業所の実名が公表されている。それぞれ1人の内定を取り消しているが、わずか1人の内定を取り消すことで、半永久的にネット上にはその事業所名が不名誉な事実とともに記載される重さについて、それぞれの事業所で真剣に検討すべきだろう。