財務省は先般、食品表示基準の適用を受ける「酒類を除く飲食料品」及び外食サービスを対象の基本とする軽減税率制度の方向性をまとめた。各個人は店頭で10%の消費税を支払うが、個人番号カードを提示し、機械で公的個人認証用の符号が読み取られることで還付ポイントを取得。政府内に設置する「還付ポイント蓄積センター(仮)」に購入情報が送付され、各個人は振込口座を登録し還付を申請する。低所得者世帯が対象品目に払う年間の消費税2%相当額を参考に、還付限度額を設定する。
店頭で既に食料品などに軽減税率を適用しているEU諸国では、事業者がインボイスを含む区分経理の仕組みを導入することが不可欠。高所得者にも負担軽減の効果が及び、失われる財源が大きくなる。
日本版では経理事務を大幅に変える必要がないほか限度額の設定により有効な低所得者対策と言え、財源の流出にも歯止めがかかる。一方で蓄積センターの運営、読取り機の設置など行政や小売り業者に生じる負担、外出の際のカード携行に係る消費者の煩わしさや危険性も否定できない。
財務省は引き続き検討し、来年度与党税制改正大綱で決める予定。個人情報保護や情報セキュリティー対策に万全を期すとともに、利用者の利便性に最大限配慮する。