中小企業の賃上げ状況公表 体力保有時に対応策の検討を
既報の通り、経済産業省は平成26年の中小企業・小規模企業における賃上げ等の調査結果を公表した。これは、対象となる企業3万社に調査票を送り、10,380社の状況についてのものとなっている。 発表によると、平成26年度にベースアップ、賞与・一時金の増額等、なんらかの賃上げを実施した企業の割合は65%で、賃上げを行った企業のうち36%の企業がベースアップに相当する賃上げを行ったと回答している。
調査結果では、実際の賃上げ事例を取り上げている。たとえば、業績好調により約8%のベースアップと約10万円の特別一時金を支給したケース、優秀な新卒者を確保するために、大卒1,500円、高卒1,000円の初任給の引上げを行ったケース、指導的立場の中堅社員に手当等で2~5万円の賃上げを行ったケースなどが紹介されている。そのほか、出産祝い金を2万円から10万円に増額した、非正規社員の活用を念頭に、時給を約10%引き上げた、正規雇用への転換措置を導入したなどの事例もあった。
いずれのケースでも比較的業績が良好だからできることかもしれないが、業績が悪化してからでは対応は困難となる。財務的な体力のあるうちに、他社の事例も参考に対応策を検討したい。