本件は、納税者が確定申告書を提出した後、原処分庁が行政指導を行わずに過少申告加算税を賦課したことの適否が争点となった事例である。課税庁サイドは、申告納税制度の下では納税者が自己の責任と判断で申告を行うべきであり、原処分庁に対し、調査を行う前に行政指導の実施を義務付ける法令上の規定は存在しないと主張した。
国税不服審判所は、国税通則法65条に基づく加算税の賦課には裁量権の余地はなく、法令に基づき自動的に課される性質のため、「不当性」を論じる余地はない。また行政指導の有無は法的要件ではない、とした。
また簡易課税方式への変更による修正申告の性質と加重分(加算税の上乗せ)の妥当性について、納税者は売上高に変動がなく、本則課税制度から簡易課税制度への課税方式の変更のみで税額が明確である場合、過少申告による「違反」とは言えず、加重分を加算するのは不当であると主張。審判所は、修正申告によって納付すべき税額が生じた以上、請求人には過少申告による納税義務違反の事実があったと認められるため、過少申告による違反は成立し、加重分も法定要件(税額が一定額を超える等)により一律で課されるため、不当とはいえないとした。
■参考:国税不服審判所|原処分庁が過少申告加算税の賦課決定処分について、原処分庁が行政指導を行わずに過少申告加算税を賦課したことは不当ではないとされた事例(令和6年6月26日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0602040000.html#y02