退職金や私的年金等の給付に係る課税は、一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立的ではないとの指摘がある。また退職所得課税は、勤続年数が20年を超えると1年あたりの退職所得控除が増加する仕組みが、働き方の多様化に対応していないといった見方もある。
定年の引上げ等によって、退職手当等を受け取る5年前に既にDC一時金を受給しており、DC一時金及び退職手当等一時金のいずれも退職所得控除を満額利用することができるケースが増えている状況を踏まえ、以下の見直しが行われる。
(1)退職手当等の一時金の支払を受ける年の前年以前9年内(改正前:4年内)にDC一時金を受給している場合には、退職所得控除の計算上、勤続年数等の重複排除調整の対象とする。(2)DC一時金に係る「退職所得の受給に関する申告書」の保存期間を10年(同:7年)とする。(3)退職手当等を受け取る全ての居住者(同:居住者である役員)に係る退職所得の源泉徴収票について、税務署長への提出を一律義務化する。
令和8年1月1日以後のDC一時金の支払、及び同日以後に提出すべき退職所得の源泉徴収票についてそれぞれ適用される。
■参考:財務省|令和7年度税制改正の大綱|
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/20241227taikou.pdf