本事例では、請求人の前代表者を被保険者とした生命保険契約に係る保険金の額について、請求人の行った当該保険金の支払通知日の属する事業年度の雑収入へ計上した会計処理を巡って、その合理的および、法人税法上の正当性が問われたもの。
原処分庁は、請求人の前代表者を被保険者とした生命保険契約において、前代表者の死因は当該保険契約に係る保険金の支払事由に該当するとともに、免責事由のいずれにも該当しないことからすると、請求人は、前代表者の死亡日において、当該保険金に係る保険金請求権の実現可能性を客観的に認識でき、その行使が可能となったといえるから、請求人が受領した死亡保険金(本件保険金)の額は、前代表者の死亡日の属する事業年度の益金の額に算入すべきである旨主張。国税不服審判所は、本件保険金は、保険会社の確認調査等の結果次第では支払われないこともあり得たこと、請求人が恣意的に本件保険金の額の収益計上時期を繰り延べようと企図した事実は認められないことを踏まえれば、本件保険金の額を支払通知日の属する事業年度の雑収入に計上した請求人の会計処理は、取引の経済的実態からみて合理的な収益計上の基準に則したものであり、法人税法上も正当なものとして是認すべきと判断した。
■参考:国税不服審判所|保険金を支払通知日の属する事業年度の収益に計上した請求人の会計処理を正当と判断した事例(令和6年2月26日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0201180000.html#a134