減らない賃金不払い事案 大きな財務負担になる可能性も

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厚生労働省が公表した令和5年における賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果による、指導監督件数は21,349件(対前年比818件増)、対象労働者数は181,903人(同,260人増)、金額は101億円超(同19億2,963万円減)となった。このうち、1事案における最大支払金額は2億3千万円となっている。なお、先月、東京メトロが労働基準監督署から是正勧告を受けたことが明らかとなったが、不払い額は最大で86億円になると予想されている。

大企業では対象となる人数が多いことから、賃金不払いが発覚すると一度に巨額な財務負担が発生しがちだが、中小企業にとっても対岸の火事ではない。労働債権の時効が2年から3年に延長されたため、賃金不払いが発覚した場合、単純に考えれば従来の1.5倍の負担が発生する。50人に月2万円の残業代の不払いが発覚すれば、一度に3,600万円の出費が求められることになる。また、労働保険・社会保険の申告等にも遡及して影響が出るため、小さな不払いの積み重ねが企業の根幹を揺るがしかねない事態になることもあり得る。適切な労働時間の管理及びそれに基づく賃金支払いは労働者のみならず企業も守ることを、あらためて認識しておきたい。

■参考:厚生労働省|賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)を公表します|

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html