報道によると、金融庁は地域金融機関に対し、実質無利子・無担保(ゼロゼロ融資)実行先の実態把握を継続して求めていく方針だ。危惧されているのが、100%保証のため金融機関に経営改善・再生支援に乗り出すインセンティブが働きにくく、リスケを繰り返す傾向がみられるということ。中小企業活性化協議会も「保全が図られていれば、再生支援には消極的になる」という。コロナ禍前からの経営課題を抱える企業は、ここにきて返済に行き詰まっている。
東京商工リサーチの調べによると、2024年上半期(1-6月)のゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は、327件(前年同期比0.6%増)で、前年同期とほぼ横ばいで推移した。ただ、2023年下半期(7-12月)と比べて17件増加しており、増勢ペースが続いている。物価高や人手不足が中小・零細企業の経営を圧迫し、2024年の倒産件数は1万件台に達する見通しが出てきた。なかでも、ゼロゼロ融資の返済負担が重荷で、資金繰りに窮した企業を中心に倒産をさらに押し上げる可能性もある。
抜本対策が必要な中で、金融機関とともに、支援サイドの専門家が、どこまで正確な現状認識の共有および有効な経営支援のシミュレーションが提示できるか求められている。
■参考:帝国データバンク|2024年上半期(1-6月)「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況|
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198735_1527.html