請求人は、金型等の製作費用相当額として一括で支払われた金銭を24か月の分割で益金算入していたところ、原処分庁から更正処分を受けた事案。請求人は全部の取消しを求めた。令和5年12月21日裁決。
請求人は、ある特定の部品の製造及び販売等を行う株式会社。設立以来、N社から注文を受けた部品を製造しており、専らその部品を製造するために使用する金型、治具及び検具を都度制作していた。その製作費用相当額はN社が負担し、部品の量産開始日を含む月の翌月から24回の月額均等分割払とすることが合意されていた。令和2年4月、コロナ渦における緊急支援策としてN社は、支払いが継続中の金型等相当額の残額を一括して支払う措置を講じた。
原処分庁は、金型等相当額を受領した日の属する事業年度において、全額を益金の額に算入すべき旨主張する。しかしながら、継続的に日々提供される役務に応じて、1か月を単位として対価が支払われる約定に基づき、各月末日の経過ごとに過去1か月分の役務に対する対価として代金が確定する等から、請求人が、当該金額を24回にわたり毎月末日に収益に計上した会計処理は、一般的に公正妥当と認められる公正処理基準に適合するものであると判断。原処分庁の主張は認められないとした。
■参考:国税不服審判所|一括払された金型等相当額を24か月にわたり収益計上した請求人の会計処理が公正処理基準に適合するものとした事例(令和5年12月21日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0201050000.html#a133