企業会計基準委員会が現在検討している「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(案)だが、平成28年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されることが分かった。また、早期適用も認める方針だ。3月決算会社の場合は、平成28年3月期決算から適用することが可能になる。
硬直的に運用されているとの批判がある現行の監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」であるだけに企業にとっては朗報といえそうだ。
ただし、今回の適用指針(案)の適用については、会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」として取扱うとしている。また、適用初年度については、遡及適用を行わず、その上で当該年度の期首時点で新たな会計方針を適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の額と前年度の繰延税金資産及び繰延税金負債の額との差額については当該期首の利益剰余金に加減する。企業側が主張する「会計上の見積りの変更」とはならず、損益に計上することができないため、企業側の反発は必至の状況だ。
なお、同委員会は早ければ5月中にも公開草案を決定する予定としている(意見募集期間は2か月程度)。