地方公社の家賃減額等訴訟 原審棄却し借地借家法適用

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被上告人は、地方住宅供給公社であり、神奈川県内において、多数の住宅を賃貸している。上告人らは、それぞれ、被上告人から建物の一室を賃借する者である。被上告人は上告人らに対し、5万6千円程度の家賃を、最終的に月額8万7千円程度に改定する旨を通知した。上告人は、本件各家賃改定のうち適正賃料を超える部分は効力を生じないなどと主張して、家賃の額の確認や、不当利得返還請求権に基づいて過払家賃の返還等を求めた。

原審は、本件各家賃の変更は、公社規則16条2項に基づく有効なものとして、上告人らの請求を棄却すべきものとした。

最高裁番所は、地方公社は、居住環境の良好な集団住宅を供給し、生活の安定と社会福祉の増進に寄与すること等を目的とする法人であり、賃借人との間に設定される公社住宅の使用関係は、私法上の賃貸借関係であり、法令に特別の定めがない限り、借地借家法の適用がある。また公社規則16条2項は、変更後の家賃は近傍同種の住宅の家賃を上回らないよう定めており、家賃の変更に係る形成権を付与した規定ではなく、補完的、加重的な基準を示したものに過ぎない。よって原審の判断には明らかな法令違反があるとして原判決を破棄し、差し戻した。

■参考:最高裁判所|地方住宅供給公社が賃貸する住宅の使用関係については、借地借家法32条1項の適用がある(令和6年6月24日・第一小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93108