労働時間の算定困難を巡り 使用者側主張を認める-最高裁

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上告人に雇用されていた被上告人が、上告人に対し、時間外労働、休日労働および深夜労働に対する賃金の支払いを求めたのに対し、上告人は、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」(本件規定)に当たるとして、所定労働時間労働したと主張し争われた事例。

被上告人は外国人実習実施者に対し、月2回以上訪問指導を行うほか、来日時等の送迎、日常の生活指導やトラブルの際の通訳等の業務に従事。被上告人は訪問の予約やスケジュール管理を自ら行い、貸与された携帯電話は使用されていなかった。タイムカードの労働管理はなく、業務日報の提出確認を受けていた。原審は、賃金請求を一部認めるべきとし、労働時間把握は容易ではないものの、業務日報の確認によるある程度の正確性の担保、および残業手当の支払いの一部事実もあり、本件規定に当たるとは言えないと判断。最高裁は、本件業務は多岐に亘り、直行直帰も許され、随時具体的に指示を受け報告することもない状況から、事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易だったとは言い難い。業務日報の正確性の具体的な検証もないまま、その報告のみを重視した本件規定に対する判断には違法があるとして、敗訴部分を破棄し原審に差し戻した。

■参考:最高裁判所|「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例(令和6年4月16日・第三小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92906