今夏に制定が予定されている過労死等防止のための対策に関する大綱の骨子案では、将来的に過労死をゼロとすることを目指し、2020年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にすると明記している。
現状、30歳代の男性の17.6%が週60時間以上働いていることを考えると、実現に向けては官民挙げてかなりの努力が必要となるだろう。
また、2020年までに有給休暇の取得率を70%以上、2017年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合を80%以上にする目標を早期に達成するとしている。
それぞれの目標について、「どのようにして」という具体的な部分については、「啓発」、「周知」、「相談窓口の設置」を含む「相談体制の整備等」など、比較的当り障りのない表現に終始している印象が強い。我が国における労働環境については、企業文化を含め、問題の本質の根は深い。ゆるやかに総労働時間が減少することを期待しても、実現はそう簡単なことではない。岩盤のように凝り固まった労働環境ではあるが、経営者にとっては他社より早く自発的に改善するチャンスも多いのではないだろうか。それは、結果として優秀な人材確保につながり、業績にも好影響が出るだろう。