今回の改正では、外形標準課税の適用対象法人のあり方について制度的な見直しが行われた。平成16年の導入時に比べて対象法人が約3分の2まで減少しているのは、資本金1億円以下への減資が主な要因であるが、財務会計上、項目間で単に資本金を資本剰余金に振り替える減資を行う事例がある。
また、組織再編等の際に子会社の資本金を1億円以下に設定することで、課税の対象範囲が縮小する事例も生じている。まず減資への対応として、前事業年度に外形標準課税の対象であった法人が資本金1億円以下になった場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には対象法人とすることとなった。
加えて、親会社の信用力等を背景に事業活動を行う子会社への対応として、資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子会社のうち、資本金が1億円以下であっても、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるものは対象法人となる。
なお、本税制の公布日以後に100%子法人等がその100%親法人等に対し資本剰余金から配当を行った場合、配当額は上記の2億円超の判定に含まれる。今後の適用対象法人のあり方については、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討するとされている。
■参考:財務省|令和6年度税制改正 |
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei2024_pdf/zeisei24_all.pdf