見る機会が減っているが、大工は仕事の合間にカンナの刃やノコギリの目などを小まめに調整している。また、理容店に行くと軽快な音を立てながら皮で剃刀を研いでいた。その澄んだ音を聞いていると、安心して任せられる気分になったものだ。
ところで、仕事の中身は、大きく分けて2種類ある。例えば、レストランであれば、お客の注文を受けて調理した食事を出す事が中心の仕事である。もう一つは、前もって準備する食材の仕入れや食器の手入れ、店内外の清掃、食事後の片づけ等である。
全ての仕事には、多かれ少なかれ仕事の準備がある。そして、仕事の準備が大切だ。
例えば、飲食店で食事を終えて、料理の味や盛り付け等に満足しても、食器類や制服のセンス、店内の清潔度や店員の言葉遣い等に不満を持つ事もある。どんな旨い料理を提供しても、お客は総合的に評価する。さらに、店舗の開店時間と閉店時間の意義を勘違いしている人がいる(店員だけでなく、店主も同様)。仕事は、開店時間に始まり閉店時間で終了すると思っている場合がある。仕事の準備は、開店前と閉店後こそ大事な時間である。この時間を本来の労働時間ではないと勘違いして、店内外の清掃や陳列直し等を疎かにしてはならない。仕事の準備が仕事の成果を左右する。