請求人らが、原処分庁がした相続税の連帯納付義務の各納付通知処分について、連帯納付責任の限度額の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から(1)相続財産の不動産登記を行う場合の司法書士報酬、登録免許税及び印紙税等の各見積額(2)相続税申告等のための税理士報酬及び本件各通知処分等に対応するための弁護士報酬の各負担額が控除されていないため違法である旨主張した事案。
国税不服審判所は、相続税法第34条第1項に規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」とは、相続人等が現実に取得した利益の価額で、現実に支払義務が生じた金額を控除した金額と解する。
相続税法基本通達34-1では、相続等により取得した財産の価額から、相続税法第13条の債務控除の額のほか、相続等により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいう旨定めているところ、(1)は、相続による権利の移転の登記がされていないため、司法書士報酬等への現実に支払義務が生じたものとは認められず、(2)の税理士報酬等は、納税義務に基づいて当然に生じるものではないとして、通達に定める債務控除の額等のいずれにも該当せず、相続等で取得した財産の価額からの控除はできないとした。
■参考:国税不服審判所|「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」において、控除すべき金額は、現実に支払義務が生じた金額と解することが相当(令和5年6月21日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0803000000.html#a131_1