財務省の財務総合政策研究所は外部有識者等による講演会を開き、HPで公表。(独法)労働政策研究・研修機構の鈴木恭子氏が「日本における『ウェルビーイング』の捉え方―なぜWell-beingを「幸せ」と訳すのでは足りないか」と題して講演した。
鈴木氏はOECDが公表したWell-being測定結果で同加盟国など41カ国中、日本は下から12番目という低い位置にあると指摘。国内総生産(GDP)に代表されるかつての経済至上主義から、生活の質向上などを目指すWell-beingへの政策転換が十分に進んでいないことを示唆しているとした。Well-beingは「その人にとって究極的に善い状態」と定義される。鈴木氏は日本の労働政策における雇用形態間格差問題の捉え方を取り上げた。
非正規雇用のうち7割を女性が占め、「自分の都合のいい時間に働きたい」などの理由でしばしば非正規を「みずから選んだ」とされる。しかし、賃金や労働時間が適切な水準を満たしていることは「本人が選んだかどうか」などにかかわらず重要だという。自ら選んだとしても、実質的に他の選択肢がない場合には、本当の意味で「選択の自由」はなく、労働市場での「満足度」「幸福感」は「自由」とセットで評価されるべきだと結論付けている。
■参考:財務省|日本におけるウェルビーイングの捉え方-なぜWell—beingを「幸せ」と訳すのでは足りないのか?|
https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2023/lm20240130.pdf