Weeklyコラム 音頭を取る人の役割

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銀行の代表者は頭取であるが、頭取の由来は雅楽の各楽器の首席奏者、或いは「音頭を取る人」であった(『広辞苑』参照)。集団で仕事をする場合は、上司が部下に指示したり、部下が行動に迷った場合に方向を教示したりする音頭取りが必要だ。音頭を取る人がいれば、良い人間関係が出来たり、効率的な仕事を遂行出来たりする。

X社(総合衣料品販売業)の悩みは、従来から社員の定着率が悪く、商品知識や接客能力のレベルが低い事であった。入社1年未満で過半数が退職する。退職理由として、「商品の名前や特徴が覚えられない」「先輩に気安く質問が出来ない」「決まった売場責任者がおらず、自分の判断に自信がない」等を挙げる。新米社員の言動を観察すると、商品説明が上手に出来なかったり、苦情対応に恐怖感があったりする。身近に応援してくれる仲間や先輩はいなかった。

そこで、次のような改善策を実施した。(1)曖昧であった売場責任者を明確にした(2)各売場責任者や店長は、毎日1回以上部下全員に声を掛けるようにした(3)これまで週1回だった朝礼を、時間を短縮して毎日実施した。

実施して1年後、新入社員の定着率が大きく向上し、社員間の対話も増えて、商品知識や接客能力のレベル等が高くなった。