請求人は、貸金返還債務の遅延損害金支払債務は、その弁済の時期や金額等の借主と貸主との合意内容によってその確定時期が左右されるので、分割払の合意がされた場合は、所得税基本通達37-2の2の注書や法人税基本通達2-1-43の趣旨に基づき、遅延損害金の必要経費算入時期は、支払った日の属する年となることから、当該年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額である旨主張する。
国税不服審判所は、貸金返還債務の遅延損害金支払債務は、その本質が債務不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償債務であり、債務自体は弁済期を経過した時点で成立するものである。遅滞が積み重なることで日々給付の金額が増加することから、各日ごとに具体的な給付をすべき原因となる事実が発生する。
遅延損害金利率と弁済期からの経過日数により金額算出が可能であり、不履行期間の日数に応じて、上記計算した遅延損害金支払債務の金額が、当該年分の必要経費に算入すべき金額になり、過年分に発生した遅延損害金支払債務について弁済時期等の合意がされても、その確定時期は左右されず、弁済した年分の必要経費に算入することはできないとした。
■参考:国税不服審判所|貸金返済債務の遅延損害金支払債務は、弁済期を経過した日以後、日々経過するごとに必要経費に算入すべき金額が確定するとした事例(2023年3月23日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0402130000.html#a130