スタートアップに対する個人からの資金供給を促す観点から、エンジェル税制も拡充される。現行制度は株式の取得のみが対象となっているところ、一定の新株予約権の取得金額も加えられることとなった。
有償新株予約権の取得に対しては、その取得時点ではなく、権利行使時点で全ての要件を確認。要件を満たした場合には、権利行使をした年において、権利取得価額と権利行使価額の合計額を対象として税制の適用を行うこととなる。例えば1,000万円で権利行使価額1円の新株予約権を1万個取得した場合は、以下のようになる。
【現行】権利取得価額は税制の適用対象外のため、所得控除を受けられる金額は、〇権利取得時:0円 〇権利行使時:1万円【改正後】権利取得時は要件の確認・税制の適用を行わないため、所得控除を受けられる金額は、〇権利取得時:0円 〇権利行使時:1,001万円。
また、税制の適用対象となる投資方法に、指定金銭信託(単独運用)を通じた投資も加えられるほか、都道府県が交付する確認書の電子化等の利便性向上が図られる。本制度の課題として挙げられていた、株式譲渡益を元手とする再投資期間の延長は、令和7年度税制改正において引き続き検討する方針が明記された。
■参考:財務省|令和6年度税制改正の大綱|
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html