年金減額改訂の取消し請求も 国の合理性認め棄却

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老齢基礎年金および老齢厚生年金の一方又は双方の受給権者である上告人らが、厚生労働大臣から各自の老齢年金の額を改訂する旨の処分を受けたことから、被上告人を相手に、その取り消しを求めた事案。

平成24年制定の国民年金法等の改正法は、平成25年度又は平成26年度に物価や賃金が上昇しない場合であっても、特例水準を平成27年度の開始時点までに3年度に亘って段階的に解消することとした。上告人は、国民年金法や厚生年金保険法等の給付等の額の計算に関する経過措置の特例の部分が、憲法25条および29条に違反すると主張。

最高裁判所は、特例水準を維持することは、賦課方式を基本とする制度の下で現役世代の負担や、同世代が給付される時代の財源の圧迫が想定され、平成24年改正法の制定時に、今後、現役世代の保険料や税の負担能力の減少および、老齢年金の総額が更に増加することが合理的に予測されていた。加えて、特例水準の解消が、世代間の公平に配慮しながら財政の均衡を図りつつ、年金制度存続への合理性あるものとすれば、特例水準によって給付の一時的な増額を受けた者について一律に特例水準を解消することは、年金制度の持続性を確保する等との観点から不合理なものとはいえないとして、本件上告を棄却した。

■参考:最高裁判所|国民年金法等改正の規定のうち、年金たる給付等の額の計算に関する経過措置等は、憲法25条、29条に違反しない(令和5年12月15日・第二小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92584