厚生労働省は労働政策審議会雇用保険部会を開催、雇用保険制度等の見直しに向けた素案を提示した。雇用保険制度はこれまで比較的安定的な運用がなされてきたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、過去に例のない大幅な雇用調整助成金を拡充するなど、財政的に大きな影響を受けた。また、女性や高齢者等の多様な層の労働参加が進む中で、雇用保険制度自体の見直しが必要となっている。
主な検討事項は、週の所定労働時間が10時間以上の労働者への雇用保険適用拡大、自己都合離職者の給付制限期間を1ヵ月に短縮、リスキリングを踏まえて教育訓練給付の拡充、教育訓練中の生活支援のための給付や融資制度の創設、両親がともに一定期間以上の育休を取得した場合の育児休業給付の給付率引上げ、2歳未満の子どもを養育する時短勤務者への「育児時短就業給付(仮称)」の創設、育児休業給付を支える財政基盤の強化などとなっている。
育児休業給付は受給者数、給付総額ともに増加傾向にある。令和4年度においては約49万人に対して約7,000億円の給付を行っており、今後も同様に増加傾向が続くと支出が収入を上回る懸念がある。今後さらに検討が重ねられ、数年にわたって所要の改正が行われる見込みだ。
■参考:厚生労働省|労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会)|
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126980_00007.html