帝国データバンクは「食品スーパー事業(GMS含む)を国内で展開する企業調査」結果を発表した。それによると、2022年度の損益状況が判明した約1100社のうち、31.3%に当たる349社が赤字だったことが明らかになった。前年度から減益(37.5%)となったケースを合わせた「業績悪化」の割合は食品スーパー全体の約7割に達し、コロナ禍前後の水準を上回って過去最高を更新した。
電気・ガス代など水道光熱費、人手不足や最低賃金の上昇によるパート・アルバイトの人件費など「インフラ」コストの増加分は顧客の理解を得られにくいことから価格転嫁していない食品スーパーも多く、収益を押し下げる要因となっている。また、ディスカウントストアやドラッグストアなど他業態の進出、大手スーパー・量販店を中心とした割安なPB商品の集客力に対抗するため、特売など値下げ戦略を取らざるを得ない地場食品スーパーもあり、値上げによる増収効果を十分に享受できず、利益面で大きく悪化したケースが目立つ。
都道府県別(本社所在地)に見ると、赤字割合が最も高いのは鳥取県で71.4%。徳島県(60.0%)や滋賀県、岐阜県(各50.0%)など地方を拠点とする食品スーパーで利益確保が難しくなっている。
■参考:帝国データバンク|「食品スーパー業界」動向調査・食品スーパー 3 割が「赤字」値上げラッシュで「特売」「安売り」負担に|
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231007.pdf