Weeklyコラム 仕事における身なりの確認

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皆様は一日に何回くらい鏡を見るだろうか。顔の美醜の話ではない。筆者が指導している某販売店では、従業員は出勤すると必ず鏡を見ることになっている。「姿勢を正す」と言っているが、要は顔色や表情(笑顔)、身なりに問題がないかを確認する。毎朝の確認で従業員の接客態度が活き活きとし、店内が明るい雰囲気になっている。

知人のAさんは生命保険会社の営業所長であるが、社員の営業成績は顔や身なりで決まると言う。Aさんの考えが正しいか否かは分からない。採用試験で顔や身なりをしっかり観察すれば、その人の仕事に対する思い入れや顧客の評価がほぼ分かると言う。また、管理者は部下の顔の表情や身なりを注意深く観察していれば、社員の特性を活かした的確な指導が出来ると言う。

身なりはいつも鏡を見て直したほうが良い事は、古い書物の中にもあり、江戸時代佐賀鍋島藩の山本常朝が著した『葉隠』(和辻哲郎・古川哲史校訂、岩波文庫)にもある。すなわち、「風体(ふうてい)の修行は、不断鏡を見て直したるがよし。これ秘蔵の事なり。諸人(もろびと)鏡をよく見ぬゆゑ、風体わろし」と(※筆者注、風体:主に身なり)。仕事上の対話においては、丁寧な言葉遣いよりも、顔の表情や身なりの方が好印象の決定要因になるようだ。