減らない賃金不払い事案 賃金不払残業是正結果公表

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厚生労働省は賃金不払残業が疑われる企業への監督指導を行った結果、令和4年度(1月から12月)において不払いとなっていた割増賃金が支払われた事案を公表した。指導監督件数は20,531件、対象労働者数179,643人、金額は121億円超となった。

このうち1事案における最大支払金額は2億7千万円となっている。今回の調査結果は前年までの集計方法を変更しているため単純比較はできないが、全体として賃金不払い事案は増加傾向にある。タイムカード等がなく、紙やパソコンで労働者自身が始業・終業時間を記録する、自己申告制を導入している企業も少なくないが、この方法は実態との乖離を生じさせ、労働時間を適正に把握できないケースが起きがちだ。実際、昨年度の調査でもそのような勤怠管理を行っている事業場への指導が多発している。

賃金不払いについては、悪質な場合は送検されることもある。また、巨額な不払い賃金の支払いが発生すれば資金繰りにも影響を与えるほか、労働保険・社会保険の申告等にも遡及して影響が出る。適切な労働時間の管理およびそれに伴う賃金支払いは、労働者のみならず企業も守るということを、改めて認識しておきたい。

■参考:厚生労働省|賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)|

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c_r04.html