換価の猶予不許可処分 事業継続困難の判定を巡って

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審査請求人が、E税務署長及び原処分庁に対し、新型コロナウイルス感染症の影響による売上の減少により、納税資金を捻出することが困難である(国税徴収法第152条《換価の猶予に係る分割納付、通知等》第1項)として換価の猶予の申請を行ったところ、原処分庁が、請求人は申請に係る国税等を一時に納付することができないとは認められないとして不許可処分を行ったことから、請求人がこれを不服としてその全部の取消しを求めた裁決事例。

国税不服審判所は、(1)申請による換価の猶予は、必要最小限度の期間を基礎として計算するものであり、1年間の収支状況を考慮すべきではない(2)「事業の継続を困難にするおそれがあると認められる場合」とは、事業経営の合理化を行った後においても、なお国税を一時に納付することにより事後の決済資金に不足を生じ、滞納者がその事業を休廃止せざるを得ない状態に至るおそれがある場合を指す。

本件の場合、当座資金の額から納付すべき国税の金額を控除した残額はつなぎ資金の額を上回ることから、国税を一時に納付することにより事後の決済資金に不足が生じるとは認められない。したがって、本件各不許可処分はいずれも適法であり、審査請求は理由がないから棄却するとした。

■参考|国税不服審判所|請求人には国税を一時に納付することにより、その事業の継続を困難にするおそれがあるとは認められないとした事例|

https://www.kfs.go.jp/service/MP/11/0902000000.html#a129