既報の通り、年金事務所の社会保険未加入企業に対する指導は強化している。
新聞でも報道された通り、国税当局から給与支払い実績がある事業所のデータを入手、一件一件突合して未加入企業のあぶり出しを行っているようだ。しかし、ここにきて各人の給与支払額まで抑えている可能性が指摘されている。
実際、すでに社会保険に加入している被保険者が別の事業所に勤務しているケースで、個人を特定して、その別法人での勤務実態を確認する連絡が入ることがある。社会保険の保険料逃れのために、A社では非常勤扱いで高額の給与を受け取り、B社では常勤で最低賃金レベルの給与を受けることがある。社会保険は当然、保険料算定基礎が低額なB社での加入を行うわけだが、年金事務所はこのようなケースでA社での勤務実態を確認しているようだ。現状、非常勤である旨の報告を行うことで、ひとまず収束することがほとんどだが、今後、非常勤であることを証明する書類の提出等が求められることもあり得るだろう。
マイナンバー導入により、今後さらに所得の把握が容易になることが予想されている。社会保険料逃れのために書類の偽造等を行えば思わぬトラブルになりかねない。長期的視野に立った慎重な対応が求められている。