財務会計基準機構の企業会計基準諮問会議は、日本ベンチャーキャピタル協会からの提案を受け、(1)上場企業等のVCファンドへの投資(投資全体)について、時価をもって貸借対照表価額とすること、(2)上場企業等が投資するVCファンドの構成資産である市場価格のない株式について、時価で評価することを検討することについて、企業会計基準委員会の新たなテーマとするかどうか、金融商品専門委員会に評価を依頼することを決めた。
政府の新しい資本主義実現会議が令和4年11月28日に取りまとめた「スタートアップ育成5か年計画」では、海外投資家の呼び込みを進めるため、ベンチャーキャピタルの監査上の留意点や会計処理の実務的な取扱いを明確化し、ファンドが保有する未公開株式については、海外と同様、公正価値評価(時価評価)を導入する旨が明記されていた。
また、企業会計基準諮問会議は、実務対応報告第19号「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」の改正についても、実務対応専門委員会にテーマ評価を依頼することを決定している。繰延資産の会計処理については、「当面の取扱い」であるにもかかわらず、15年以上抜本的な検討がなされていないと指摘している。
■参考:企業会計基準諮問会議|上場企業等が保有する VC ファンドの出資持分に係る会計上の取扱いについて|
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/asac_20230703_04.pdf