厚生労働省の中央最低賃金審議会は、先月から令和5年度の最低賃金の引上げについての議論を開始している。政府は現在の全国平均時給961円を1千円に引き上げたい意向を表明。審議会を構成する労使の代表らは、物価高騰を反映させて調整する見通しであるため、上げ幅は過去最大となり、時給1千円に到達する可能性が高いとされている。
同審議会は先日、小委員会を開催、議論を本格化させている。小委員会での議論は昨年まで非公開だったが、今回は審議の透明性向上を図るため一部を公開した。大幅な引上げが予想されるため、密室での議論と言われないために透明性を高めたのではと勘ぐる向きも少なくない。会議の席上、労働者側からは昨今続く物価上昇に追い付く賃上げを求める意見が出ている。加えて、地域間格差を是正し、労働者の生計費に見合う水準を目指すべきだと主張。春の賃上げを加味しても物価上昇に追いついておらず、実質賃金はマイナスであるという意見もあり、労働者側は最低賃金の大幅引上げを求めている。
使用者側も最低賃金の引上げの必要性は理解しているものの、中小企業の支払い能力を高める必要があるとの指摘も根強い。議論を踏まえて、今月末には引上げの目安額が決まる予定だ。
■参考:厚生労働省・中央最低賃金審議会|令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について(諮問)|
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-tingin_127939.html