観光地の価値は、自然や建物等の風景の魅力によって大方決まる事が多い。例えば、観光地で舟下りを楽しむ場合、その価値は流水の状況とともに、両岸の岩場や木々、背景の家々や野山等に左右される。
こんな話を聞いた。Xホテルは川沿いにあり、客室から眺める魅力的な景観を売り物にして繁盛していた。ところが、川の向かい側にあるYホテルが閉鎖されて、その建物の一部が崩壊して景観が非常に悪くなってしまった。Ⅹホテルは、手続きの上自己負担でYホテルの取り壊しをしたという。また、各地の街づくりや商店街改造等において、最も大きな課題は「街並み景観イメージ」をどのように決定するかである。時には、関係者のイメージが統一出来ず、事業が暗礁に乗り上げてしまうこともある。例えば、城下町の中心市街地を整備するような場合、歴史上価値のある古い建物や史跡を強調する風景を残したい人もいれば、近代的な建物や公園等を中心にしたい人もいる。実際、現在全国各地に歴史的建造物を活用した街並み景観の地域もあれば、新たな街づくりをした地域もある。風景の評価基準は複雑であるが、風景の良悪は商売繁盛や住民の定住性等に大きな影響を与える。観光に限らず、風景を大事に守る精神は地域発展に大変重要である。