投資先、中国からASEANへ 中小企業の成功例も―通商白書

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経済産業省は、令和5年版の通商白書を取りまとめた。白書は、地政学的なリスクの高まりから、日本企業が重視する投資先が中国から東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドにシフトしつつあり、信頼できるサプライチェーン構築と、企業のグローバル化推進を通じた稼ぐ力の強化が重要であると指摘した。

輸出で中小企業の成長促進を実現させた例として愛媛県の和紙製品メーカー、カミイソ産商(資本金2000万円、従業員94人)を取り上げた。カミイソ産商は、マスキングテープや和紙製品の販売を5年前から始めたが、欧州での販路がほぼない上、ブランドが認知されていないことが課題だった。そこで、ブランド力向上のためのプロモーション活動や展示会への出店を進めた。また、フランス人デザイナーとの共同開発により、フランス人が考える日本をイメージしたモチーフをマスキングテープに取り入れたりした。

その結果、海外での販売先が26か国に拡大するなどの成果を上げたという。白書はまた、先進国と新興国の経済状態が連動していない「デカップリング」の進行などで世界経済が直面する分断の危機を乗り越えるため、自由で公正な貿易秩序と経済安全保障の両立に向けた取り組みが重要であることも示した。

■参考:経済産業省|「令和5年版通商白書」を取りまとめました|

https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230627008/20230627008.html