厚生労働省は令和4年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。同省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や「業務上疾病」と認定し、労災保険給付を決定した支給決定件数などを取りまとめて公表している。
資料によると、令和4年度の過労死等に関する請求件数は対前年度比387件増の3,486件となった。同省では平成14年以降、本調査を行っているが過去最多となっている。件数の増加は労災事故自体の増加のほか、法整備が進んだことから、パワハラなどでも労災認定できるという認識が広まったことも影響したようだ。支給決定件数も同103件増の904件となり、いずれも大きく増加している。
一方、労災認定された案件のうち、死亡したケース(いわゆる「過労死」)は対前年度比15人減の121人となった。精神障害での労災件数は4年連続で増加しており、こちらも過去最多を更新している。平成26年11月に「過労死等防止対策推進法」が施行、同法に基づき「過労死等の防止のための対策に関する大綱」も定められ、同省を中心に様々な施策が実行されているところだが、なお改善の余地が大きいようだ。
■参考:厚生労働省|令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33879.html