財務省の研究機関、財務総合政策研究所は外部有識者等による講演会を毎月開催しており、その内容をホームページで公表している。5月18日にデロイトトーマツグループ執行役の松江英夫氏が「人口減少を乗り越える新成長戦略~価値循環が日本を動かす」と題して講演した。
松江氏はヒト・モノ・データ・カネという「4つのリソース」の循環と、人口減少下でも増加する「4つの機会」を掛け合わせ、新たな需要創出の機会を切りひらく「価値循環」という考え方が、22世紀型の成長モデルとしてこれからの世界全体の羅針盤となる可能性を秘めていると強調した。
講演内容によると、日本は2010年以降名目GDP(国内総生産)で、米国、中国に大きく引き離され国民一人当たりGDPも世界25位だ。人口減少下にあり、賃金、消費は低迷していると指摘した。こうした現状を打破するには「価値循環」が極めて有効であり、4つの機会とは
(1)グローバル成長との連動(2)リアル空間の活用・再発見(3)仮想空間の拡大(4)時間の蓄積が生み出す資産―を指すとしている。価値循環の考え方を環境・エネルギー、モノづくり、観光など5つの領域に当てはめ、日本の課題と強みが交差する10のテーマに関し具体的な需要創出シナリオを提示した。
■参考:財務省・財務総合政策研究所|外部有識者等による研究所内講演会『人口減少を乗り越える新成長戦略』~価値循環が日本を動かす|
https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/lmeeting.htm