パワハラという程ではないが、上司が部下を理解してくれないという悩みがよくある。同僚同士でもあり得る。会社の為になると思って努力した事、同僚の助けになると思ってした事等が誤解されたり、出しゃばりと非難されたりする。
例えば、建設機械の営業マンAさんは、営業課で作った企画や同僚が作った企画書に対して積極的に意見(企画追加の提案が多い)を述べる。勿論、上司や部下のプライドを傷つけない注意をしている。Aさんは研究熱心だから、意見に対する反論は難しい。その時の上司や同僚は不快な表情をし、態度が冷淡になる。Aさんは自分の熱意が伝わらないと思う。よく見る光景ではないだろうか。
『論語』に、「人の己れを知らざることを患(うれ)えず、人を知らざることを患う」(人が自分を知ってくれないことを気にかけないで、人を知らないことを気にかけることだ)とある(金谷治訳注「論語」岩波文庫)。Aさんは、一般に自分や他人が実行出来る能力や営業課の実績・特質等を考慮せず、一つの理想論を述べるようだ。相手から見れば、無理な要求を受けたと感じ、Aさんの意見に同意出来ない。正論なだけに、上司や同僚はプライドが傷つくかもしれない。Aさんは、相手からの理解より、相手の心境を理解する事の方が先だ。